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禁煙外来の保険適用。医療事務が語る費用と治療スケジュール

この記事は約 14 分で読めます。

禁煙外来の保険適用

 

【追記 2022.2.3】

禁煙補助薬の内服薬であるバレニクリン(一般名チャンピックス)の出荷保留は継続中のため、禁煙外来を中止している医療機関もあります。

出荷再開は、早くても2022年の後半以降とのこと。

 

詳しくは、ファイザー株式会社の報告をご確認くださいませ。

https://www.city.hitachi.lg.jp/shimin/002/002/p084361_d/fil/5.pdf

 

 

愛煙家の方には申しわけないのですが、タバコが大の苦手の「くぅ」です(^^;)

 

煙とニオイが嫌で、自転車に乗りながら吸っている人に遭遇すると、後ろを運転するのが苦痛。

猛スピードで追い抜きます(笑)

 

患者さんの中でも、今タバコ吸ってきたでしょって思うくらい、服のニオイが気になったり・・。

 

健康や身体を気にされて受診される反面、タバコはやめられないといった感じでしょうか。

 

逆に禁煙外来ってありますか?という問い合わせもあって、タバコをやめたいと思われる人もおられるようです。

 

全ての病院ではありませんが、禁煙外来によって薬で治療ができます。

 

タバコをやめていこうと思われている患者さんに対して、保険適用で受診してもらえるのです。

 

医療事務の観点からみると、禁煙外来にはニコチン依存症管理料を算定します。

 

今日は、禁煙外来の保険適用について、そのスケジュールや点数について書いてみましょう。

 

禁煙外来のルールを把握しておくと、患者さんからの質問にも対応できますから・・。

 

 

 

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保険適用の禁煙外来の算定

 

禁煙外来という診療をしている医療機関は、どこでもあるわけではありません。

 

禁煙外来をするには届出が必要だからです。

施設基準に係る届出を、地方厚生局にします。

 

医療事務としては、この届出をしている病院に勤務する際には、把握しておかなくてはならないことです。

 

 

誰でも禁煙外来で治療できる?

 

禁煙外来で治療するには、届出をしている医療機関でなければならないとお伝えしましたが、保険適用できるのにもちょっとしたルールがあります。

 

誰でも、保険適用で治療できるわけではないのですね。

 

受診された患者さんには、まず問診票を書いてもらいます。

・ニコチン依存症の判定テスト(TDS)が5点以上である
・ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上である〈35歳以上~〉
・ただちに禁煙を始めたいと思っている
・禁煙治療を受けることを文書で同意している

 

この条件を満たしたとき、保険適用となるのです。

 

ちなみに35歳未満の場合には『依存状態等を医学的に判断し、本人の禁煙の意志を確認するとともに、家族等と相談の上算定することができる』と、厚生労働省の見解があります。

 

この意思の確認が必要というのは、年齢にかかわらず大事です。

 

本当に頑張って禁煙治療にのぞむかは、後にも触れますが算定上けっこう重要だったりします。

まぁ、事務的なことなのですが・・(^^;)

 

また、以前に禁煙治療をしたけれど、やっぱりやめられなかったという再チャレンジの患者さんでもOK。

もちろん、意思の確認は徹底します(笑)

 

そのとき、禁煙外来で1度トライされた人は、前回の初診日から1年経っていないと保険が効きません。

 

うちにも、過去に再チャレンジで来られた患者さんがおられました。

やっぱりタバコをやめたい、そう思っている患者さんはおられるのですね。

 

4つの条件に当てはまればスタートできますが、喫煙者だからといって、誰でも保険適用で治療ができるわけではないのです。

 

 

治療のスケジュール

 

禁煙外来の治療期間は3ヶ月。

12週となっていて、患者さんには5回受診してもらいます。

 

まずは初診日。

2回目は2週後、3回目はその2週後です。

 

次はその4週後、最終の5回目はそこから又4週後となっています。

 

禁煙補助薬を服用して、その日々の様子などを禁煙外来ノートに記載し、受診のときに
持参してもらうのです。

 

診察については、体調の確認・治療薬を処方・禁煙へのアドバイスなど。

禁煙補助薬による副作用があるかもしれませんから・・。

 

診察ごとに、呼気一酸化炭素濃度を測ります。

この値が変化してくると、タバコを吸わない人に近くなる数字を目で見ることで、タバコの本数を減らせたことに自信がつきますよね。

 

もちろん、吸わなくなってきたことは、ご自身が一番感じておられるでしょうが・・(^^;)

 

 

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ニコチン依存症管理料の点数

 

届出も提出して禁煙外来の治療が始まると、ニコチン依存管理料を算定することになります。

 

初・再診料や処方薬の点数の他に、管理料が取れるのです。

 

B001-3-2 ニコチン依存症管理料

1 ニコチン依存症管理料1

イ 初回 230点
ロ 2回目から4回目まで

(1) 対面で行った場合 184点
(2) 情報通信機器を用いた場合 155点

ハ 5回目 180点

2 ニコチン依存症管理料2(一連につき) 800点

 

診療報酬点数早見表より

 

『区分番号D200に掲げるスパイログラフィー等検査の4の呼気ガス分析の費用は、所定点数に含まれるものとする』とあるので、呼気一酸化炭素濃度を測っても点数は算定できません。

 

ニコチン依存症管理料の算定には、医療事務として忘れてはいけないことがあります。

 

それは、レセプトの摘要欄に選択式コメントコードを忘れないことです。

初回の当該管理料を算定した月日の記載が必要。

 

 

もう一つ、うちのように院外処方箋の場合。

治療薬を処方の際には、禁煙治療のための処方である旨を記入しなくてはいけません。

 

どちらも、禁煙外来にはコメント記載に気を付けて仕事をしましょう。

 

 

保険適用での算定方法と費用

 

・禁煙外来の初回

初診 288点
院外処方箋料 68点
ニコチン依存症管理料1 230点

 

合計で586点。

3割負担で1760円です。

 

これに禁煙治療薬の薬代がかかります。

 

・2~4回

再診料 126点
院外処方箋料 68点
ニコチン依存症管理料1 184点

 

合計で378点の3割負担で、1130円。

あとはプラス薬剤料ですね。

 

・5回目

再診料 126点
ニコチン依存症管理料1 180点

 

合計で306点の3割負担で920円。

 

禁煙補助薬は、ニコチンパッチで8週間、内服薬で12週間です。

薬局で支払う金額が、おおよそ13000円。

 

禁煙治療の約3か月間、全部で2万円ぐらいではないでしょうか。

 

 

令和2年からの新設

 

これらの診療報酬点数には、令和2年に決められた新しいルールがあります。

 

① 5回の受診のうち、2~4回目の診察は対面ではなくオンライン診療でも良い
② 5回の診療を一連でまとめて算定可能
③ 加熱式のタバコも禁煙外来の対象

 

①や②のように医療機関に足を運ばなくても良いのは、患者さんにとっては助かるでしょう。

 

しかも、これ普通に対面の診察よりも安いのですよね~。

一連で一括で支払っちゃうと、ほんとお得。

 

まぁ、病院側からしたら死活問題ですけど(笑)

 

禁煙外来で保険適用するときの対応

 

 

病院側のデメリット

 

患者さんが、ご自身の健康のためにタバコをやめられたら、医療事務にとっても喜ばしいこと。

よく禁煙外来に足を運んでくださいました~というものです。

 

けど、実際のところ禁煙外来で5回まで成し遂げられる患者さんは、100%ではありません。

 

途中で来院されなくなったり、薬を続けられなくなったり・・。

もちろん、禁煙に成功された患者さんも多くおられます。

 

ただ、このニコチン依存症管理料を算定する際。

『厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合には、所定点数の100分の70に相当する点数を算定する』というルールがあります。

 

過去1年間のニコチン依存症管理料の平均継続回数が2回以上であること。

 

今年1年の患者さんの達成率のようなものです。

この基準に達していないと、医療機関としては次年度、診療報酬点数を100分の70で計算することになります。

 

同じように来院されて治療を受けられても、費用が安くなるわけ。

 

2年に1回の診療報酬点数改正があったわけでもないのに、点数が下がっている~なんていう事態になるのです。

 

まぁ、患者さんにしてみれば、100分の70になっている医療機関で治療できればラッキーでしょう。

 

前年度の実績によって点数が変化するなんて、恐るべし禁煙外来(笑)

 

なので、患者さんには禁煙に対する強い意志を持って来院して欲しいわけです(^▽^;)

 

この更新のようなシステムがあるので、年に1度は禁煙外来についての書類の提出が必要となっています。

 

医療事務にとっては、多くの患者さんに禁煙治療に来て欲しいと思っていますが、ぶっちゃけ100分の70にはしたくなかったり・・という気持ちなのです(^^;)

 

 

まとめ

 

禁煙外来は大きな病院だけではなく、小さなクリニックの内科や循環器科・耳鼻咽喉など、どこでもやっています。

婦人科や心療内科でも・・、さまざまな診療科で行なわれているのです。

 

4つの条件を満たせば、保険適用で禁煙治療が可能。

 

約3ヶ月で数万円かかりますが、それ以降はタバコ代がいらなくなるのですから金銭面でもお得ですよね。

 

12週間のスケジュールで進んでいきます。

 

医療事務として働く職場の全ての病院が、禁煙外来を行っているわけではありませんが・・。

 

医療事務をめざすあなたには、ニコチン依存症管理料という点数が算定ができるってことは知っておいていただきたいと思います。

 

私が、医療事務の資格を取ろうとしていた頃にはなかった項目です。

医療事務なってから学んだこと。

 

こうやって、診療報酬点数は年々変わっていくので、現場では新しい業務が増えたりします(^▽^;)アハハ

 

禁煙外来が保険適用でできるのですから、患者さんの対応や算定方法も勉強しておくと良いですよ。

 

最近では以前に比べると、禁煙外来を希望される患者さんは減ってきているように思います。

忘れた頃に、患者さんが来られると慌てたりするので・・(笑)

 

私にとっても、今日は復習の意味を込めて書いてみました。

 

おしまい!

チャンチャン(^^♪