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医療事務のおばさんは、今日も無事に仕事を終えました(笑)
診察は医師、検査は看護師、計算は事務といった毎日です。
採血は看護師がしますが、項目の精算をするためには電子カルテやレセプトコンピューター(レセコン)に医療事務が入力します。
検査の項目は、必要だと思ったものを先生が依頼。
けど、最近では「腫瘍マーカー」という言葉を患者さんがよく口にされます。
「腫瘍マーカーの検査ってできるのですか?」
「腫瘍マーカーの検査をしてもらえませんか」といった具合い。
腫瘍関連検査は、医師の判断のもとに行われます。
同じ項目でも2種類の算定方法がある腫瘍マーカー。
算定ミスも多い項目なので、レセプト作成では気を付けなければいけません。
本日は、その腫瘍マーカーの算定について説明しようと思います。
腫瘍マーカーの算定について
医療事務の資格を取るために勉強を始めたときや、初めて医療機関に勤めたときは、この腫瘍マーカーの算定には注意しましょうと言われます。
では、この腫瘍マーカーって、いったい何なのでしょうか。
腫瘍マーカーとは?
まず、ウィキペディアで調べてみました。
癌の進行とともに増加する生体内の物質のことで、主に血液中に遊離してくる物質を抗体を使用して検出する臨床検査のひとつである。また、生検で得られた検体や摘出された腫瘍の病理組織標本を免疫染色し、腫瘍の確定病理診断や組織型の鑑別に用いられるなど臨床検査の場で多く使われる
Wikipedia より
血液中に、癌かどうかの指標となる物質があるかないかを調べる検査。
簡単にいうと、癌があるかどうかの目安となる数値のことです。
採血をするときに、検査する項目の一つとして腫瘍マーカーをオーダーします。
ただ、癌にはさまざまな種類があり、腫瘍マーカーという検査項目をするわけではありません。
なぜなら、癌によって物質のタイプが違うからです。
乳癌には乳がんの、胃癌には胃癌の、前立腺には前立腺の特有な物質があるのです。
癌の存在があるかないかを調べる項目、それらを腫瘍マーカーといいます。
例えば、肝臓癌を疑ったらAFPという腫瘍マーカー、前立腺癌のときはPSAという項目といった感じです。
現場では、それらの検査項目をひとまとめにして、腫瘍マーカーということもあります。
患者さんが「腫瘍マーカーも調べてもらえますか?」と言われても、そう簡単にはできません。
癌を調べる物質はいろいろあるし、そもそもその病気の症状や疑いがない場合には、保険診療ではできないのです。
いきなり検査を依頼されても、何の癌でしょう?って感じ。
あ~~、私はあくまでも医療事務なので、そんな権限はないです(;^_^A
判断は、もちろん先生。
腫瘍マーカーの検査が必要かどうかは、先生が決めるのです。
本来は、症状のない患者さんがお願いするものではないわけ。
癌が心配で、とにかくとりあえず、癌の検査・腫瘍マーカーを希望される患者さんが多いような気もします。
心配性の私には、その気持ちめちゃくちゃわかりますけど・・(^^;)
ただ、この値が基準値より高いからといって、すぐに癌だというわけでもなさそうです。
癌でなくても腫瘍マーカーの値が高いときもあるって、先生が言われる説明を聞いたことありますから・・。
一つの目安や先生の判断材料として、腫瘍マーカーの検査はけっこう行われています。
医療事務が気を付けるポイント
腫瘍マーカーの検査をするかしないかは、医師の判断。
けど、検査をしたあとの診療報酬点数の算定では、医療事務の出番です。
それには、注意しなければならないことがあります。
精算時の患者さんのお支払いも違ってきますからね~。
たとえば・・。
CEAは「腫瘍マーカー」と呼ばれる血液検査の項目の一つ。
生化学的検査です。
診療報酬点数でいうと、
2. 癌胎児性抗原(CEA) 102点
となります。
ところが、同じように血液検査でCEAを調べても、102点ではなく360点のときがあるのです。
ここがややこしいところですね~。
このとき、うちの現場では「管理で取る」と言っています。
では、管理で算定するというのは、いったいどういうことなのかというと・・。
それは、悪性腫瘍であるという診断が確定しているかしていないかの違いなのです。
悪性腫瘍であると既に確定診断がされた患者さんへ。
検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合には、医学管理料として、悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定します。
同じ検査項目でも、管理料で取る場合があるということ。
同一暦月に1回を限度として算定します。
腫瘍マーカーを、血液検査の一項目として算定するのか、医学管理料として計算するのかは、確定診断かどうかによるのです。
この2つのパターンを、もう少し詳しく書いてみますね。
腫瘍マーカーの検査としての点数
まずは、血液検査の項目として算定する場合。
診療点数早見表には、
1. 尿中BTA
・
・ 省略します(^^;)
・ 29項目あります。
・
・
29. 可溶性インターロイキン-2レセプター(sIL-2R)
注1 診療及び腫瘍マーカー以外の検査の結果から悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者に対して、腫瘍マーカーの検査を行った場合に、1回に限り算定する。ただし、区分番号B001の3に掲げる悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定している患者については算定しない。
注2 患者から1回に採取した血液等を用いて本区分の2から29までに掲げる検査を2項目以上行った場合は、所定点数にかかわらず、検査の項目数に応じて次に掲げる点数により算定する。
イ 2項目 230点
ロ 3項目 290点
ハ 4項目以上 408点
診療報酬点数早見表より
診療点数早見表の注2の部分。
腫瘍マーカーの検査1~29の29項目のうち、2~29の28個の項目数によって、点数がまとめられるのです。
現場の医療事務は「まるめ」といっています。
それぞれに点数がありますが(ここは29項目もあるので、診療報酬点数本で確認してください)、項目数によって決まっている点数を算定します。
たとえば、さっきのCEA102点とCA19-9の127点、この2項目の腫瘍マーカーをした場合。
単純に合計して229点とはならず、2項目で230点となります。
血液検査では、まるめで計算される場合があるわけです。
これは、腫瘍マーカーだけの話しではありません。
個々の点数ではなく、まとめて算定する点数も少なくないのです。
腫瘍マーカーに関しても、2項目・3項目・4項目以上とまるめになります。
1項目のときだけは、診療報酬点数そのままで算定しましょう。
忘れてはいけないのが、
1. 静脈 35点
5. 生化学的検査(Ⅱ)判断料 144点
癌の疑いの患者さんには、判断料と検体採血料も忘れず算定します。
医学管理料として算定
血液検査の項目として行った場合は、先ほどの注1に書いてある通り。
診療及び腫瘍マーカー以外の検査の結果から、悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる人に対してでした。
疑い病名をつけるということ。
ですが、医学管理料として算定する場合。
癌の確定病名、もしくは癌手術後の病名が必要です。
悪性腫瘍の患者さんに対して行ったときに、悪性腫瘍特異物質治療管理料として算定します。
・癌であることがわかっている患者さん
・癌の手術後の方
・癌の患者さんなら別の癌を疑った場合(転移性の癌疑い)
などは、医学管理料で算定できます。
B001 特定疾患治療管理料
3 悪性腫瘍特異物質治療管理料
イ 尿中BTAに係るもの 220点
ロ その他のもの( 1 ) 1項目の場合 360点
( 2 ) 2項目以上の場合 400点注1 イについては、悪性腫瘍の患者に対して、尿中BTAに係る検査を行い、その結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り第1回の検査及び治療管理を行ったときに算定する。
2 ロについては、悪性腫瘍の患者に対して、区分番号D009に掲げる腫瘍マ
ーカーに係る検査(注1に規定する検査を除く。)のうち1又は2以上の項目
を行い、その結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り
第1回の検査及び治療管理を行ったときに算定する。3 注2に規定する悪性腫瘍特異物質治療管理に係る腫瘍マーカーの検査を行っ
た場合は、1回目の悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定すべき月に限り、150
点をロの所定点数に加算する。ただし、当該月の前月に腫瘍マーカーの所定点
数を算定している場合は、この限りでない。4 注1に規定する検査及び治療管理並びに注2に規定する検査及び治療管理を
同一月に行った場合にあっては、ロの所定点数のみにより算定する。5 腫瘍マーカーの検査に要する費用は所定点数に含まれるものとする。
6 注1及び注2に規定されていない腫瘍マーカーの検査及び計画的な治療管理
であって特殊なものに要する費用は、注1又は注2に掲げられている腫瘍マー
カーの検査及び治療管理のうち、最も近似するものの所定点数により算定する
診療報酬点数早見表より
検査料では80点だった尿中BTAが220点に。
先ほどのCEA102点とCA19-9の127点で230点だった2項目が、400点となるのです。
悪性腫瘍特異物質治療管理料は、月に1回算定できるのですが、初回に限り150点加算できます。
これは360点と400点の場合だけ。
癌であるとわかったときに管理料で算定する時は、気を付けなければなりません。
ただ、その前月に腫瘍マーカーの検査をしていたら、150点は取れないことになっていることにも注意が必要です。
管理料で算定するときは所定点数に含まれるので、検査のときのように血液採取料や判断料は取れません。
これは、現場のコンピューターによっては自動算定になっていることもあるので、削除するという作業が必要になる場合もあります。
35点や生化学的検査(Ⅱ)144点が、レセプトにあがってきていないかは要チェック。
当たり前ですが、減点されますから・・(^▽^;)
まだまだ、細かいポイントはあるのですが、大まかにはこの位おさえておけば、腫瘍マーカーの算定は大丈夫でしょう。
まとめ
今回は、腫瘍マーカーの算定は2通りあるという内容で書いてみました。
医療事務の資格を取得しようと勉強中のときは、ちょっぴり引っかかってしまう問題の一つでしょう。
病名を見て、癌の確定診断の有無で判断します。
問題集ではカルテをよく見ることがオススメ。
癌が確定していたら管理料で算定。
採血料も判断料も取れません。
初回加算が取れるのかも、カルテをよく確認してくださいね。
癌の疑いで血液検査をしたのならば、検査項目の数で計算します。
まるめにも気を付けて、採血料と判断料も算定。
あっ!
もちろん、この検査料と悪性腫瘍特異物質治療管理料の両方を算定しようなんて、厚かましい考えは持たないでくださいね(笑)
腫瘍マーカーの算定は、検査料か管理料のどちらか一方。
管理料の220点(尿中BTA)と360点もしくは400点は、同時に算定不可です。
点数の高い方を算定しますよ。
必然的に220点はなしということですね。
腫瘍マーカーの算定を何度か経験するとわかってきますが、最初は難しいと思います。
うちの新人さんも、初めは必ず先輩に確認していますよ。
あなたも頑張ってくださいね(^o^)丿