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労災指定病院以外で健康保険を使用。診療所の医療事務の対応

この記事は約 14 分で読めます。

労災指定病院以外で健康保険を使用

 

私は、地域に根付く診療所で働いている医療事務員です。

うちは労災指定病院ではありません。

 

労災に指定されている病院は、大きな医療機関だけとは限らず届け出をしているところ。

 

所轄労働局長から指定医療機関としての指定を受けた病院や診療所は、その旨を掲示しているはずです。

 

『労災保険指定病院』とか『労災保険指定診療所』というふうに、標札を掲げることになっています。

 

あまり意識していないかもしれませんが、時々みかけますよ。

 

うちのように、労災の指定診療所でない医療機関で、診療が終わってからや後日「労災で・・」と言われた場合。

 

果たして、医療事務はどんな対応をしたら良いのでしょうか。

 

労災指定以外の医療機関、労災指定されていないのに、労災で扱える・・なんて、そんなことってあるの?と思いますよね。

 

もうすでに健康保険扱いで診療も終了しているのに・・。

割合負担に準じて、費用ももらっているしね~。

 

本日は、労災指定病院以外の医療機関で健康保険を使ってしまった場合、いったいどうなるのかを書いていきます。

 

うちのように、労災指定病院以外の診療所について知りたいあなたには必見です。

 

 

 

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労災指定病院以外で健康保険を使用してしまったら・・

 

労災指定病院でない医療機関に勤めたら、そうそう「労災扱いで・・」なんていう場面に遭遇しません。

 

初めから労災扱いで・・となっているなら、事前に指定病院を探して、そこを受診しているでしょうから。

 

でも、労災になるかわからないときや、そもそも労災ということすら知らない場合もありますよね。

 

もう、健康保険を使って受診しちゃったというケースもあるでしょう。

 

 

労災保険って何?

 

医療事務の資格を取るために勉強していた20年も前のこと。

 

そのときに、労災保険について学習した記憶がありません(^^;)

もう昔のことでうろ覚えですが・・(;^_^A

 

健康保険扱いできないことぐらいは分かっています。

けど、詳しくは労災指定病院以外で働いていると、蚊帳の外みたいな感じで触れることもありません。

 

一年ぐらい前に、一度「労災扱いできますか?」という問い合わせがあったときに「申し訳ありません。うちは労災指定病院ではないので・・」と答えたことがあります。

 

先日も、受診して数日経ってから「労災でお願いします。」と申し出があったのです。

 

そのときに、少し労災を意識して調べてみたりしました。

 

労災保険を使えるのは、業務上や通勤時の災害に対して。

業務や通勤のときに病気や怪我をした場合、労働者に対して保険が適用され給付されるという制度です。

 

だいたい、労災保険って・・いつの間に加入してて、保険料って私は支払ってるの?なんて、今さらながら知らなかったりします(;^_^A

 

ちょっと医療事務の話しからそれてしまいますが、気になるので調べてみました(笑)

 

労働者災害補償保険法というものがあるらしいです。

労災保険は労働者災害補償保険というもので、事業主が労働者を一人でも雇うと支払わなければならないもの。

 

企業が全額払うということなので、私は知らない間に労災保険に入っているのですね~~。

 

毎月引かれている雇用保険は知っていますが、労災保険も一緒に、企業は申告・納付しているとのこと。

 

この労働者災害補償保険のおかげで、私達従業員は医療費も保険料も負担する必要がないわけです。

 

ちなみに、労災保険は労働基準監督署、雇用保険は公共職業安定所がそれぞれ担当しているって。

 

なるほど~、私も勉強になりました(*^^)v

すっきり!

 

 

健康保険は使えない

 

それでは、本題へ。

 

労災保険は、事業主が申告・納付しているのだから保険が適用されるのですよね~。

 

この法律は、労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

健康保険法第1条

と、健康保険法で決められています。

 

『労働者の業務外の事由による』ということは、労働者の業務上については、健康保険は使えないとなるわけ。

 

そこで、労災保険があるのですね。

 

労働者災害補償保険法の第7条には、こうあります。

・労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付
・労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という。)に関する保険給付

 

医療事務は、いつもの患者さんのように医療保険証を提示してもらって、受診を受け付けてはいけないのです。

 

保険証による負担割合で計算した診療代を清算し、レセプト請求もできません。

 

でも、これって最初から労災保険でお願いします・・って言われないと、医療事務はわかりませんよね。

 

ましてや、うちのように労災指定病院以外の場合、どうなるんでしょう。

 

ほんと、労災保険を使用するやり方を知りません。

というか、届け出すらも出してないし、掲示もしてませんけど・・(^▽^;)

 

 

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医療機関の窓口対応

 

もちろん、患者さんは最初から労災扱いなら、労災指定病院へかかられるでしょう。

 

厚生労働省のページからも、全国の労災保険指定医療機関を検索できます。

https://rousai-kensaku.mhlw.go.jp/

 

ですが、労災保険が使えるとも知らず、あとから「労災でお願いいたします。」と言われたら・・。

 

このパターン、絶対ないともいえません。

うちのように、労災指定病院以外の診療所でも起こり得ます。

 

窓口の医療事務はどう対応したら良いのでしょうか。

すでに保険給付扱いしてしまった場合、労災給付に切り替えなければなりません。

これは大変です(笑)

 

労災保険扱いとなると、患者さん自身の負担金はなくなるのですから、医院側は返金しなくてはなりません。

 

ここで、労災指定病院以外の診療所は、どうやって診療費を請求するのでしょうか。

 

うちのように労災保険扱いができないとき。

 

健康保険扱いにしていた医療費を、全額自費扱いして患者さんに自己負担してもらいます。

患者さんはご自身で、治療費を労働基準監督署に請求するのです。

 

労働者が業務中や通勤が原因で、けがをしたり病気になれば労災保険の適用。

基本は、労災指定病院で治療を受けます。

 

労災指定病院で治療を受けるのは原則。

事前にわかっているときは、労災指定病院を案内しましょう。

 

指定以外で治療を始めてしまった場合では、患者さんには実費で支払ってもらい、療養の費用給付請求書(業務災害の場合は様式第7号、通勤災害の場合は様式16号の5)を持ってきてもらいます。

 

この請求書が、患者さん自身の請求書類となります。

 

労災指定病院以外の診療所などへかかると、患者さんもいったん自費分を払わなくてならないし、病院側も書類作成に手間がかかります。

 

お互いのためにも、労災指定病院にかかってもらいましょうね(笑)

 

労災指定病院へ直接受診すれば、治療費の支払いも無償。

療養の給付請求書(業務災害の場合は様式第5号、通勤災害の場合は様式16号の3)を、窓口で提出するだけでOK。

 

もちろん、医療事務はこの給付請求書の処理をするのですが・・。

労災指定病院ならお手のものでしょう。

 

 

ただ、この切り替えというパターンの時期って気になります~~(^▽^;)

レセプト請求が終わっちゃているのに、労災で・・なんて、あとから言われたりしたら・・。

 

医療事務としては、レセプト(診療報酬明細書)の請求について考えるもんね~。

 

これ、労災指定病院でも考えられますよ。

 

もう保険請求をしてしまったのか、まだレセプト作成をしていないのか・・。

 

患者さんが、すぐに労災保険扱いを希望され、まだレセプト請求していないのなら間に合います。

切り替えができるということ。

 

レセプト請求が終わっていたら、何やら面倒な感じではないですか?

 

詳しいことは、労災指定病院以外の診療所で勤務している私にはわかりませんが(^^;)

 

保険者と労働基準監督署とのやり取りになるのではないでしょうか。

これに関しては経験不足の無責任で、すみませんm(__)m

 

何にしても、患者さんは労災扱いになるかどうか事業所・労働基準監督署に相談・確認。

労災指定病院を受診されることをオススメしたい「くぅ」なのでした(^▽^;)

 

 

まとめ

 

病院を受診する原因が業務や通勤なら、労災保険を使い健康保険は使えません。

仕事に関連する負傷や病気なら、患者さんは無償になるのです。

 

迷わず「労災指定病院へ行かれてください」と言いましょう。

 

労災指定病院以外の診療所で、様式第7号・16号の5などによる対応ができるとしても、原則は労災指定病院への受診です。

 

うちのような労災指定病院以外の診療所へ、後日、労災保険扱いを希望されたとき。

 

いったん自費扱いで、全額支払ってもらい、療養の費用給付の請求書(様式7号もしくは様式16号の5)を持参してもらい作成します。

 

給付請求書の作成にあたっては無料ですが、患者さん・診療所ともに手間も時間もかかるので、届け出をしている医療機関をさがす方が良いと思います。

 

労災指定病院以外の診療所に勤務されていても、労災保険については知っていて損はないでしょう。

 

うちの医院には、保険医協会の「労災診療等の手引」という冊子があります。

もちろん、指定病院ではないので労災保険の算定はしません。

 

単価1点12円だとか初診料が3760円だとか、労災診療費算定なども書かれてあります。

普段は、全く関係ないかのように開いたこともありませんでした(;^_^A

 

ちょっと覗いてみると、いろいろ学ぶことが多くあります。

今回は、私もとても勉強になりました。

 

あなたにも参考になれば良いのですが・・。