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外来迅速検体検査加算はどういう時に取れる?算定漏れに注意

この記事は約 17 分で読めます。

外来迅速検体検査加算はどういう時に取れる?

 

診療所で働く医療事務のおばさん「くぅ」です。

 

小さなクリニックでは、血液検査の結果が当日に判明することってそう多くはありません。

自分の医療機関で調べず、外注で依頼するからです。

 

もちろん、急ぎで結果をFAX等でお願いすることもできます。

ですが、当日に何人もの検査結果のデータを手に入れるなんてことはしません。

 

大きな病院では、その日中に血液検査の結果が聞けたりしますが・・。

小さな病院にはそんな検査ができる機器を持ちああせてないですからね~。

 

この採血の結果をすぐに患者さんに伝えると、算定できる加算点数があります。

 

血液以外でも当日に結果を伝えればOKな項目もあるので、忘れてはいけません。

 

そのレセプト請求できる加算点を「外来迅速検体検査加算」といいます。

けど、この外来迅速検体検査加算は算定漏れが多いわけ。

 

請求漏れのないように、本日はどの項目でどういう時に取れるのか詳しくみていきます。

 

 

 

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外来迅速検体検査加算はどういう時に算定するの?

 

この加算点数、迅速とあるように当日中に検査結果を患者さんに報告すれば取れます。

10点の加算で5項目までとなっています。

 

診療点数早見表を見てみましょう。

 

入院中の患者以外の患者に対して実施した検体検査であって、別に厚生労働大臣が定めるものの結果について、検査実施日のうちに説明した上で文書により情報を提供し、当該検査の結果に基づく診療が行われた場合に、5項目を限度として、外来迅速検体検査加算として、第1節第1款の各区分に掲げる検体検査実施料の各項目の所定点数にそれぞれ10点を加算する。

検体検査実施料の通則3

 

入院中の患者さんはダメで、うちのように外来受診の場合ですね。

検査した項目を全て文書にして渡し、説明すれば良いわけ。

 

もう少し詳しくみていきます。

 

 

加算点を算定できる項目

 

検査には生体検査と検体検査があります。

外来迅速検体検査加算を算定できるのは、このうちの検体検査に関して。

 

対象項目は、厚生労働大臣が定めるものです。

 

・D000 尿中一般物質定性半定量検査(※院内で行った場合に算定)

・D002 尿沈渣(鏡検法※原則として院内で行った場合に算定)

・D003 糞便検査
「7」糞便中ヘモグロビン・D005 血液形態・機能検査
「1」赤血球沈降速度測定(ESR※院内で行った場合に算定)
「5」末梢血液一般検査
「9」ヘモグロビンA1c(HbA1c)

・D006 出血・凝固検査
「2」プロトロンビン時間(PT)
「11」フィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP)定性・半定量・定量
「17」Dダイマー

・D007 血液化学検査
「1」総ビリルビン、総蛋白、アルブミン、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、アルカリホスファターゼ(ALP)、コリンエステラーゼ(ChE)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT)、中性脂肪、ナトリウム及びクロール、カリウム、カルシウム、グルコース、乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)、クレアチンキナーゼ(CK)
「3」HDL-コレステロール、総コレステロール、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、
「4」LDL-コレステロール
「17」グリコアルブミン

・D008 内分泌学的検査
「9」甲状腺刺激ホルモン(TSH)
「15」遊離サイロキシン(FT4)、遊離トリヨードサイロニン(FT3)

・D009 腫瘍マーカー
「2」癌胎児性抗原(CEA)
「3」α-フェトプロテイン(AFP)
「8」前立腺特異抗原(PSA)、CA19-9

・D015 血漿蛋白免疫学的検査
「1」C反応性蛋白(CRP)

・D017 排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査
「3」その他のもの

 

[注] ※は迅速検体検査加算に関係なく、もともと院内で行わなければ算定できない検査項目です。

診療点数早見表より

 

これ、けっこうな血液検査の項目がありますよね~。

よく検査されるメジャーなものが、ほぼ含まれています。

 

医院などで、スクリーニング検査として血液検査をセットでやっているときにも含まれている項目。

 

たくさんあるので、気を付けないと外来迅速検体検査加算を忘れているかもしれません。

10点の最大限だと×5の50点も取りこぼすかもしれないのです。

 

 

算定にはどういう時に加算できるかが大切

 

数多くの検査項目で加算できるということはお分かりいただけましたね。

 

ですが、通則にもあったように検査結果については、実施した当日に書面にて報告というのがルールなのです。

 

検査結果を見て、それに基づく診療を行ったうえで算定できる点数。

 

うちのような小さな診療所では、血液検査は外注でお願いすることが多いでしょう。

 

患者さんにその場で結果を説明するということはほぼありません。

結果はまた後日に‥と言うパターン。

 

ですが、いくつかの血液検査が院内でできる検査機器を導入している診療所では注意が必要です。

その場で数分待てば、検査結果が出るのですから・・。

 

結果を情報として文書にて説明すれば、外来迅速検体検査加算は項目の数だけ5項目を限度に算定できます。

 

小さな診療所でも、勤務先に検査機器あるかないかで気を付けなければなりません。

例を挙げて、もう少しみていきますよ~。

 

 

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診療所でも外来迅速検体検査加算が取れる例

 

外来迅速検体検査加算は算定できる・できないで、よく査定の対象にもなります。

 

たとえば・・。

例に挙げてみます。

 

加算点数10点、最大5項目まででしたね~。

検査ができる検査機器が院内にある場合で書いていきます。

 

 

① 尿一般検査、末梢血液一般検査、グルコース

 

全て外来迅速検体検査加算の点数が取れる検査項目なので、10×3=30点。

 

 

② 尿一般検査、尿沈渣(検鏡法)、末梢血液一般検査、C反応性蛋白(CRP)、グルコース、ヘモグロビンA1c(HbA1c)

 

外来迅速検体検査加算の対象項目の検査ばかりですね~。

全部で6項目ですが、10×5=50点。

 

6項目は算定できません。

 

 

③ 尿一般検査、末梢血液一般検査、C反応性蛋白(CRP)、赤血球沈降速度測定、リウマトイド因子(RF)定量

 

検査項目が5つで50点といきたいところですが、リウマトイド因子(RF)定量は迅速検体検査加算が取れる項目ではありません。

 

まぁ、このリウマチの検査が小さな医院でできる・・というのはあまりないとは思いますが・・。

例なので、院内でできると仮定します(^▽^;)

 

それでも、加算対象の項目ではないので算定できません。

なので、10×4=40点となるわけです。

 

外来迅速検体検査加算が算定できる項目のみで、当日文書で説明できたらOK。

 

この場合、対象項目ではないRF検査の結果が、当日判明していてもしていなくても関係ないということですね。

 

外来迅速検体検査加算が取れる項目なのか、算定できない項目なのかは要チェックとなります。

 

もちろん50点を請求してしまうと、査定で減点です。

 

 

あと、次のように院内と院外(外注)の検査が混在している場合。

院外の検査は後日にしか説明できないというときです。

 

④ 尿一般検査・尿沈渣(検鏡法)→院内、 前立腺特異抗原(PSA)・CA19-9→院外(外注)

 

これらの4つの4検査項目は、全て外来迅速検体検査加算が算定できるもの。

 

ですが、院内で検査して当日結果を伝えることのできるのは尿に関する2項目だけです。

ということは、外来迅速検体検査加算が取れるもの全部を説明できないので算定できません。

 

加算は0点で、ひとつも算定できないのです。

 

もし、外注のPSAとCA19-9が至急で依頼でき、当日結果が出ることもあるでしょう。

 

患者さんに時間をおいて、数時間後に来院してもらい当日伝えることができれば算定できます。

 

患者さんには足を運ばせて申し訳ないのですが、同日に文書で説明でき診療を行ったのなら可能なのです。

4項目で40点。

 

そのときは、同日再診は取れないので注意しましょう。

 

又、この場合、同日に別の症状で来られた患者さんに、ついでに外注先から結果を取り寄せて説明もして文書を渡したとします。

 

たとえば昼から熱が出て来院されたとしたら、同日再診は取れますよね~。

最初の血液検査の結果の外来迅速検体検査加算が40点と、同日再診も算定します。

 

 

院内の検査なのか外注の検査なのか・・と考えるよりも大事なのは、同日に文書で結果説明できたか否か。

 

1度の検査内容が外来迅速検体検査加算が算定できる対象項目ばかりなら、全てが報告できないと算定できません。

 

加算項目と加算できない対象項目をあわせて検査した場合。

このときは加算対象項目のみ全て結果報告できたら算定できます。

 

 

外来迅速検体検査加算の対象項目

 

 

その他・・何回も取れる?

 

私が医療事務になった頃にはなかった外来迅速検体検査加算。

この加算が取れるようになったのは、たしか15年くらい前で当初は5点だったと思います。

 

自院に検査機器を置いてまで、算定しようなんて思わなかったのではないでしょうか。

って、勝手な私の想像ですが・・(^^;)

 

でも10点に変更になり、外注でも当日中に結果を文書で伝えれば算定できると広く認知されてきたように思います。

で、私も取り忘れてはいけないと思うようになりました。

 

尿検査のみでも、アッ!10点算定しなくては・・と思い出してくださいね。

 

外来迅速検体検査加算は別の科も受診・2科であっても要件を全てクリアしていれば、5項目まで算定できます。

 

また、同日の午前に2項目、午後から3項目の検査をしても5項目までなら可能。

もちろん別の日であれば、1日5項目まで月に何回も取れるのです。

 

入院施設のある診療所では、要件を満たした外来検査の迅速加算を算定したのちに、結果入院となった場合には算定できます。

 

 

そうそう、時々レセプトコメントが必要なの?というのも耳にしますが・・。

 

これは、大きな病院で外来診療料という再診料を算定しているところの話しです。

200床以上のベッド数がある医療機関。

 

うちのように、小さな診療所では関係ありません。

コメントは必要ないのです。

 

 

レセプトコメントについては、こちらの記事で書いています。

*『レセプトにコメントが必要?令和2年10月分から義務化の件

選択式コメントが気になるあなたはどうぞ(^^)

 

 

あと、注意事項としてはグルコースの検査。

これは、簡易血糖測定のように血糖の試験紙法では算定できません。

 

血糖の自己測定に使うペーパーやセンサーでの検査のように簡単にできるものではないのですね。

 

この場合は、同じ「D007 血液化学検査」の「1」血中ケトン体・糖・クロール検査(試験紙法・アンプル法・固定化酵素電極によるもの)という項目。

10点は算定できません。

 

外来迅速検体検査加算の対象であるグルコースとは違いますから・・。

 

 

もう一つ。

尿に関しては尿中一般物質定性半定量検査と尿沈渣の2つが対象項目。

 

クレアチニン・尿素窒素・カルシウムなどは検体が尿の場合もありますが、外来迅速検体検査加算が取れるのは血液のときです。

尿での対象項目にはなっていません。

 

いろいろ悩むことが多い外来迅速検体検査加算10点ですね~(^^;)

 

 

まとめ

 

外来迅速検体検査加算はどういう時に算定するのか?についてみてきました。

 

時々、頭がこんがらがって、どの項目が加算できるんだったっけ?って、点数本を確認することもあります(;^_^A

 

院内検査と外注が混在すると、なおのこと分からなくなるもの。

 

外来迅速検体検査加算は算定できる・できないで、よく査定の対象にもなります。

 

血液検査の結果で外来迅速検体検査加算を算定していても、同時に尿検査をしていたことを忘れていた場合など。

 

たとえば、尿検査と中性脂肪、グルコース、総コレステロール、ヘモグロビンA1cで40点請求。

 

尿一般の加算を忘れていた場合は、全てが対象項目なので点数が違うと査定されます。

返戻ならまだしも、40点減点となることも考えられるかも・・。

 

外来迅速検体検査加算の対象項目の確認は、きっちりと行いましょう。

 

院内の検査機器のある医療機関、外注と混在する場合、ゆっくり落ち着いて算定漏れのないよう気を付けてくださいね。