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先月、胃カメラと大腸カメラを同日に検査してから、医療事務として診療報酬点数の算定について考えることがありました。
診療点数早見表でいう「内視鏡検査」にあたります。
D295~D325。
普段の職場では、内視鏡検査の算定がよくあるわけではありません。
小さなクリニックでは、紹介状を書いて他院でしてきてもらうことも多いからです。
今回、まじまじと診療点数早見表を見ていると、気を付けなければならないことが多くあるな~という感じがしました。
医療事務の資格取得に向けて勉強しているときは必死ですが、実際の現場で使わない点数に関しては忘れがち・・(^▽^;)
改めて「なるほど~。」「こんなこともあったよね~」と感じているわけです。
今日は、胃カメラと大腸カメラの算定方法を中心に、内視鏡検査の保険点数をみていきます。
レセプト作成のときも気を付けていきましょう。
医療事務の資格取得をめざされているあなたへ。
問題集を解く参考になるように書いていきますね。
内視鏡検査のレセプト作成で気を付けたいこと
内視鏡検査では、さまざまな部分を検査できます。
耳鼻科であれば、咽頭・中耳など。
消化器科なら、胃・十二指腸、大腸。
泌尿器科では膀胱・尿道・尿管など、まだまだあります。
いろんな箇所を内視鏡で検査できるのですね~。
私は胃カメラと大腸カメラ、肛門鏡の経験があります(/ω\)ハズカシイ・・
胃カメラ検査のときの注意点
内視鏡検査のうち、胃カメラに関しては、私の勤務先でもやっています。
検査の項目で算定しますが、そんなに難しい点数はありません。
ですが、注意点もあるので、取り忘れには気を付けましょう。
① 内視鏡検査の前処置で使用した薬剤について。
喉の表面麻酔などよく使われる、キシロカインスプレーやキシロカインゼリーなどです。
レセプトでは、検査の項目なので60番コードの欄に記入。
ここに、使用した薬剤を忘れず算定します。
投薬の薬剤の欄、20番コードではないですよ~~( 一一)
② 胃カメラ検査の前処置では、ブスコパンという注射などもあるのですが、その注射薬(薬剤)もお忘れなく。
60番コードの薬剤の部分に、もれなく取ります。
30番コードの注射の欄ではありません。
そのとき、注射なら手技料はどうするの?という疑問がありますよね~。
これに関しては、D295からD325の内視鏡検査に係る共通事項として
内視鏡検査当日に、検査に関連して行う 第6部 第1節 第1款 の注射実施料は別に算定できない
診療点数早見表より
と通知されています。
検査に係る注射や点滴の実施料は取れないので、薬剤のみの算定ということです。
③ 写真診断を行ったときには、フィルムの費用として購入価格を10円で除して得た点数を加算します。
フィルム代を内視鏡検査の点数に加えるというわけです。
④ 色素を使って検査した場合は、粘膜点墨法に準じて算定します。
60点の加算が算定できるので、忘れないようにしてください。
このとき使用された色素の費用は、所定点数に含まれるので取れません。
⑤ 同一の患者につき、同一月において同一検査を2回以上実施した場合。
(なんだか、早口言葉のような感じですが・・笑)
早見表にはよくある、お決まりの文言(^▽^;)
2回目以降の当該検査は、所定点数の100分の90で算定します。
⑥ 病気が疑われて組織を取る「生検」が必要になったとき。
必要な患部の組織を切り取る「採取料」でもある「内視鏡下生検法」が請求できます。
何の病気なのか、悪性なのか良性なのか病理診断をするときなどに採取。
病理診断を算定し忘れることはありませんが、採取したときに取れる「内視鏡下生検法」の点数漏れは気を付けてくださいね。
ピロリ菌検査のときにも、必要な検体を採取した場合は「内視鏡下生検法」310点が算定できます。
⑥ 病理組織顕微鏡検査で調べるとき。
病理検査に出してじっくり調べてもらい、ガンかどうかも診断することができるのです。
1臓器につき860点算定できるのですが、胃・十二指腸で1臓器になります。
レセプト表示にすると、こんな感じ。
内視鏡下生検法 310点×1
EF-胃・十二指腸 1140点×1
フィルム・薬剤等 〇〇点×1
病理判断料 150点×1
EFはファイバースコピーの略症です。
T-Mとは、病理組織顕微鏡検査のこと。
①~③の薬剤やフィルム代の合計点数は、医療機関によって違います。
ピロリ菌の検査や粘膜点墨法をしたときは、その分の加算も忘れずに。
胃のポリープが見つかって切除したら、手術コードです。
K653 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術で算定します。
まぁ、うちのような小さな医院では、こんな手術にはならないですが・・(^^;)
大腸カメラの算定で押さえておく点
大腸カメラに関しては、鎮静剤を使用したりポリープ切除をすることが少なくありません。
検査項目自体の点数は、胃カメラとそれほど変わらないのですけどね~~。
胃カメラ同様、前処置の薬剤や鎮静剤に必要な薬剤は合計します。
特に異常がなければ、これで終了ですが、ポリープが見つかったら切除。
ここで、レセプトでは検査から手術へとコードが変わるのです。
D313「大腸内視鏡検査」から、手術料のK721「内視鏡的大腸ポリープ切除術」での請求となります。
〈検査〉
D313 大腸内視鏡検査
1 ファイバースコピーによるもの
イ S状結腸 900点
ロ 下行結腸及び横行結腸 1,350点
ハ 上行結腸及び盲腸 1,550点
2 カプセル型内視鏡によるもの 1,550点
〈手術〉
K721 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術
1 長径2センチメートル未満 5,000点
2 長径2センチメートル以上 7,000点
診療報酬早見表より
この時、内視鏡検査でよく目にするのが「ポリペク」とか「ポリペクトミー」という言葉。
これは、ポリープや大腸がんを内視鏡的に切除することです。
他に略称として、内視鏡的粘膜切除術をEMR、内視鏡的粘膜下層剥離術をESDなんていうのもあります。
大腸カメラでポリペクのときに、気を付けなければならない点は・・。
① 手術の項目での請求なので、検体採取料は算定できません。
胃カメラのときにあったような内視鏡下生検法は請求できないのです。
診断穿刺・検体採取料の通則に「手術に当たって診断穿刺又は検体採取を行った場合は算定しない」と書いてあります。
② 手術となると、内視鏡のフィルム代も算定できません。
大腸カメラでポリープを切除、上行結腸とS状結腸の病理検査をしたとき。
例として、レセプトにしてみると・・。
粘膜切除術 5000点×1
薬剤 〇〇点×1
T-M(上行・S状結腸) 860点×2
病理判断料 150点×1
病理組織の採取の場合は、組織の個数ではなく1臓器につきです。
例えば、上行結腸とS状結腸からいくつも組織を採取しても、臓器は上行結腸とS状結腸の2臓器。
3臓器が限度となっています。
「組織切片によるもの」について、次に掲げるものは、各区分ごとに1臓器 として算定する。
ア 気管支及び肺臓
イ 食道
ウ 胃及び十二指腸
エ 小腸
オ 盲腸
カ 上行結腸、横行結腸及び下行結腸
キ S状結腸
ク 直腸N000 病理組織標本作製・通知より
③ 同一の患者につき、同一月において同一検査を2回以上実施した場合。
この早口言葉(笑)、胃カメラでも書きましたが大腸カメラでも同じ。
2回目以降の当該検査は、所定点数の100分の90で算定します。
例えば、S状結腸まで900点の検査を同月に2回したなら、2回目は810点。
同じ検査、S状結腸までですからね~。
ですが・・。
同一月に、1回目が上行結腸及び盲腸の1550点、2回目はS状結腸までの900点だった場合。
同じ大腸内視鏡検査とみなすので、点数が違っていても同一検査とします。
大腸内視鏡検査のファイバースコピーによるものとして、イ・ロ・ハは同じ項目の検査とするわけ。
2回目の900点は、100分の90で810点になるので気を付けましょう。
まとめ
内視鏡検査の中でも、本日は胃カメラと大腸カメラの保険点数をみてきました。
レセプト作成時の算定に関しては、気を付けなればならないことがあります。
検査と思っていたら、手術の項目になる場合もあるのでしたね~。
病理検査のために組織を採取したときには、個数にかかわらず内視鏡生検法310点を算定。
これが、ポリープ切除のように手術コードになると、採取料としては算定できないので注意してくださいね。
注射や点滴などの手技料は取れませんが、薬剤料はきっちりと計算しましょう。
算定漏れがないように・・。
医療事務をめざして学習されてるあなた。
レセプト作成の問題を解くときには、参考にしてみてください。