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年に一度は健康診断を受けている「くぅ」です(*´▽`*)
新年度ということで先月、基本的な健康診断をしました。
早期発見の意味も含めて「検診」と名の付くものは極力受けています。
もう年ですからね~~。
診療所でも、国が勧めている特定健診というものがありますよね。
その中の一つの尿検査。
普段も受付窓口で尿コップを渡して検査することもあります。
この検尿に関する基本的な検査項目は、血液検査を外注しているところでも尿に関してはすぐに結果がわかります。
院内ですぐに分かるのですね~。
今日は、検尿の検査項目や点数の算定の仕方について書いてみます。
検尿の検査項目について
小さな医院では大きな病院と違って、血液の検査をしてもすぐに結果が出ません。
検体を外注に出して検査するからです。
でも尿に関しては、患者さんが「結果もう出たんですか?」と言われるぐらいすぐに分かります。
一般的な尿検査は試験紙の色の変化を見るだけだからです。
看護師がチャッチャッチャと見てくれます(笑)
どんな内容で算定点数は?
尿検査の全てがその場ですぐに結果が出るわけではありません。
尿の検査項目にもいろいろあるからです。
簡単にすぐに分かるのが、医療機関で検尿をして試験紙(ウロペーパー)で見る検査。
尿中一般物質定性半定量検査といいます。
定性半定量検査の検査項目は
・蛋白定性
・潜血反応
・グルコース(糖・ブドウ糖)
・ウロビリノゲン
・ウロビリン定性
・ケトン体
・ビリルビン
・pH
・比重
・亜硝酸塩
・白血球(白血球エステラーゼ)
・アルブミン
・食塩
など。
スクリーニングでどこまで確認するかは医療機関によるでしょうが、代表的な項目の中から
選びます。
その他にも看護師は、尿の色合いや混濁、浮遊物など丁寧に見てくれたりしますよ~。
これらの検査はひとつひとつに点数があるわけではなく、いくつ調べても26点です。
D000 尿中一般物質定性半定量検査 26点
注 当該保険医療機関内で検査を行った場合に算定する。診療点数早見表より
当該保険医療機関内で検査を行った場合とあるように、外部委託の場合は基本的に算定できません。
しかし、ただし書きに
委託契約等に基づき当該保険医療機関内で実施された検査について、その結果が当該保険医療機関に対して速やかに報告されるような場合は、所定点数を算定できる
医学通信社 診療点数早見表より
とあります。
外部委託でも速やかに結果報告ができればOKということですね。
まぁ、院内で看護師がチャッチャッチャと見てくれますが・・(^▽^;)しつこい⁈
検尿の検査は、主に尿路系や腎臓についてチェック。
腎機能について調べられる簡単な検査でもあります。
膀胱炎のような症状で来院される患者さんも、検尿は必要です。
尿沈渣についての算定
採尿してもらった尿で試験紙の検査だけではなく、先生は尿沈渣という項目を指示されることがあります。
読みは「にょうちんさ」です。
尿沈渣は、尿を遠心分離機にかけたり顕微鏡で調べたりする検査。
さきほどの尿中一般物質定性半定量検査か尿中特殊物質定性定量検査が必要です。
尿一般の検査において、何らかの所見が認められた場合や診察の結果で先生が必要だとされた場合に行うのが尿沈渣。
尿蛋白や尿潜血で陽性だった場合、特に先生は依頼されます。
D002 尿沈渣(鏡検法) 27点
注1 同一検体について当該検査と区分番号D017に掲げる排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査を併せて行った場合は、主たる検査の所定点数のみ算定する。
2 当該保険医療機関内で検査を行った場合に算定する。
3 染色標本による検査を行った場合は、染色標本加算として9点を所定点数に加算する。
D002-2 尿沈渣(フローサイトメトリー法) 24点
注1 同一検体について当該検査と区分番号D017に掲げる排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査を併せて行った場合は、主たる検査の所定点数のみ算定する。
2 当該保険医療機関内で検査を行った場合に算定する。診療点数早見表
点数表の注2にも書かれてある通り、尿沈渣も院内で検査をしなければならないのです。
検尿をしたときに、試験紙ですぐ判明するのと同じように院内で結果が出る場合。
そんなときに算定できる点数となっています。
ということは・・。
受診中に速やかに結果がわかるということが前提。
結果はしばらくすると判明するということになります。
そこで忘れてはいけないのが、外来迅速検体検査加算10点です。
尿中一般物質定性半定量検査や尿沈渣(鏡検法)は、外来迅速検体検査加算の対象項目。
加算の算定にはルールがありますが・・。
詳しくはこちらの記事で
*『外来迅速検体検査加算はどういう時に取れる?算定漏れに注意』
御確認くださいませ。
尿沈渣(鏡検法)を算定した場合に限られますが、10点の取りこぼしのないようにしましょう。
もちろん尿中一般物質定性半定量検査26点を算定したときも、10点は加算できますからね~。
仮に尿一般と尿沈渣20点のうち、10点しか算定していないと逆に査定されます。
レセプトコメントに関する選択式コード
そして、もう一つ注意すべき点。
注1の「 同一検体について当該検査と区分番号D017に掲げる排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査を併せて行った場合」という部分。
同一検体というからには尿ですよね。
この尿で、尿沈渣とD017の顕微鏡検査は併算不可。
主たるもの、検査点数の高い方で請求します。
別の検体ならば、それぞれの検査が算定可能です。
ただし、別検体である旨をレセプトにコメントを入れなければなりません。
(排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査、尿沈渣(鏡検法)又は尿沈渣(フローサイトメトリー法)を同一日に併せて算定する場合)当該検査に用いた検体の種類を記載すること。
830100133 検体の種類(S-蛍光M、位相差M、暗視野M);******
830100134 検体の種類(S-M);******
830100135 検体の種類(S-保温装置使用アメーバM);******
別表Ⅰ 診療報酬明細書の「摘要」欄への記載事項等一覧 (医科)
尿以外の検体の方を選択式コードで入力することになります。
レセプトコメント・選択式コード関連は
*『レセプトにコメントが必要?令和2年10月分から義務化の件』
*『レセプトの摘要欄のコメント。令和4年度からも記載追加あり』
こちらの記事でも書いています。
このときに外来迅速検体検査加算が算定できるのは、D017「3」その他のものだけです。
選択式コードでいうと「830100134 検体の種類(S-M);******」
尿で沈渣・別の検体でD017「3」その他のものの顕微鏡検査をしたとします。
それぞれの検査点数を算定し、レセプトコメント記載。
全て当日に結果説明をし文書で提供して診療したのであれば、外来迅速検体検査加算も算定できます。
まとめ
健康診断や医療機関を受診した際にする検尿。
スクリーニングで簡単にできる検査項目は、試験紙による方法で結果もすぐに出ます。
ウロペーパーだけでも、10項目ほどがチェックできるのですね。
そう言えば、この間患者さんから「尿検査っていくらですか?」って質問されているスタッフがいました。
私は医師や看護師でもないので、検尿でどんな病気が分かるの?ということについては書きませんでしたが・・(^^;)
検尿の検査項目と点数、算定の仕方やレセプトコメントについてみてきました。
検査の点数や代金などの問い合わせには説明出できるようにしておきたいものですよね。
参考にして頂ければ・・と思います。
私自身、採尿で気を付けていることと言えば・・。
朝一番の尿をとるとか、排尿中の真ん中あたりをコップにとるとか。
あぁ~、私のことはどうでも良いですけど(笑)
寝不足が続いていると、尿に蛋白が出るなんて聞いたこともあります。
過労であったり激しい運動のあと、食事にも関係あるなど微妙に結果が変わることも・・。
先生が指示された検査項目で、間違いのないよう算定しましょう。
レセプトコメントも必要ならば、忘れないようにね。