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リフィル処方箋という言葉、もう医療事務のあなたならご存知ですよね。
1月にも、リフィル処方箋の導入が決定したよ~という記事を書きましたが、今日はもう少し
深堀りしますね。
日本では2022年4月から導入されています。
まだ始まったばかり。
医療関係者ならなんとなく耳にしているかもしれませんが、まだまだ患者さんには浸透していないでしょう。
とは言うものの・・、このご時世テレビやネットであっという間に広がっていくはず。
早速、患者さんから「今日テレビで知ったんですが、リフィル処方箋ってされてますか?」という質問がありました。
きたぁ~~(笑)
診療所としては取り入れるべきなのでしょうか。
本日はリフィル処方箋にするメリットやデメリットを考えながら、この新しい制度について書いてみようと思います。
診療所でリフィル処方箋にする?
リフィル処方箋というシステム。
1枚の処方箋を繰り返し使え、受診しなくても良いのですから患者さんにしてみれば嬉しい話しですよね。
今後はもっとテレビなどでも取り上げられ認知度もアップしてくると、患者さんからは要望が多くなるのではないのかな~と思っています
なぜなら、患者さんからは
・一ヶ月なんてあっという間、もう少し長い期間の処方箋が欲しい
・月に一回受診して薬をもらうのは、長い待ち時間もあって面倒
なんていう声をよく耳にするからです。
薬局だけですぐに薬がもらえるのなら、リフィル処方箋を希望しますよね?(^▽^;)
リフィル処方箋とは?どんな内容?
そもそもリフィル処方箋って、まずはどういうこと?というところから書きます。
簡単にいうと、一定期間内に処方箋を反復利用できる新しい処方箋様式のこと。
今までの処方箋と基本的には変わらないのですが・・。
処方欄の最後に
【 リフィル可 □ ( 回) 】
と表示されます。
医師がリフィルによる処方が可能と判断した場合、□ にチェック レ点、と使用回数を記載するというしくみ。
処方箋の備考欄の下に、院外薬局が記入するであろう調剤実施回数も表示されます。
一枚に対して以前より情報が多いので、処方欄が狭い感じです(^▽^;)アハハ
症状が安定している患者さん。
医師の処方により薬剤師による服薬管理の下、このリフィル処方箋様式を反復利用できる人に
可能な処方方法。
以前に薬局から見本をもらっていたので、私がマーカーした画像を載せておきます。
一枚の処方箋を数ヶ月に渡って、繰り返し何度か使えるシステムです。
医療機関側のデメリット
診療報酬点数改定では新項目があったり点数も上がったりと、医療機関としていつも増収というわけではありません。
改定はどちらかというとマイナスのイメージの方が多いです。
いかにして医療費を削減するか・・ですもんね。
リフィル処方箋という新しい制度の導入で期待もありましたが・・。
むしろデメリットの方が目につきます。
処方箋料としては変わらず、今まで通りの68点。
リフィル処方箋であろうがなかろうが同じ点数です。
反復して処方箋を使用するので受診は必要ないとなると減収に繋がります。
受診料が算定できないのは、診療所にとっては大きな痛手となるでしょうね。
慢性疾患の患者さんなら、毎月算定していた
・再診料
・処方箋料
・特定疾患療養管理料
・特定疾患処方管理加算
これらが取れなくなるのですから・・。
収入だけではありません。
患者さんの身体の状態を毎月診れない・経過観察が充分できないと、急な変化に気付きにくくなります。
薬剤師との接点の方が多くなり、薬局任せで医師との意思疎通が希薄になりそうです。
薬剤師さんも医師に近い役割も担わなくてはならなくなり大変そう・・。
医療事務にとっては何かが変化するというわけではありませんが、きちんとリフィル処方箋になっているか確認ぐらいでしょうか(笑)
アッ! 先ほども書きましたが、このリフィル処方箋様式。
処方欄が狭くなったので、処方箋の枚数がやけに多くなるのですよね~(^▽^;)
1枚に印字できる薬剤が少な過ぎっ。
用紙代もバカになりません。ナンチャッテ
というわけで、デメリットとして考えられるのは、
・患者さんの受診が少なくなり、医療機関の減収
・患者さんの体調の変化や状態の悪化に気付きにくい
・患者さんとの関係が希薄になるかも
・処方箋の枚数が多くなり用紙代増加
まとめると、こんな感じです。
まぁ、リフィル処方箋にするかしないかは先生の判断です。
導入しないと決められた先生は、患者さんへ明確な理由を伝えなければなりません。
世間でリフィル処方箋という制度が開始されたとアナウンスされてるわけですから。
患者さんに理解を求めなければならないのも、一種のデメリットかも・・。
薬剤師もより一層、患者さんと深く関わらなければならなくなり負担が多くなりそうですよね。
患者さんにはメリットが多い?
ではでは、メリットは何でしょう。
患者さんが多くて診察が大変という大きな病院の場合。
症状が安定していて薬だけなら、リフィル処方箋にすることで受診回数が減り、業務の負担が軽減されるかもしれません。
でも、大きな病院ではもともと今までも処方日数は長い場合があったのですよね。
60日分とか90日分とかね。
一度にそれだけ処方されていたので、今更リフィル処方にする意味がないのかもしれません。
先日、患者さんに見せてもらった大きな病院でもらったという処方箋。
チェック欄もなくリフィル処方箋の様式にはなっていませんでした。
リフィル処方箋を導入しない医療機関は、様式の変更もいらないのですよね~。
けど、受診しなくても薬がもらえるなんていう制度なら、診療所で一ヶ月しか薬が処方されない患者さんにとっては朗報。
診療所にとっては受診回数が減るわけなので、患者さんの来院人数も少なくなると・・。
大きな病院のように、手術や検査などの高い点数も取れませんから。
医療機関にとっては、やっぱり減収です。
メリットって少なくないですか?(^^;)
患者さんにとってはメリットの方が多いでしょうね。
・薬だけの診察が減って時間的にも余裕ができる
・受診しなくても良いので医療費も安くなる
・コロナのような感染症へのリスクも低くなる
高齢になればなるほど通院も負担になります。
待合室で長時間じっとしているのも苦痛ですものね。
安定して変化のない状態なら、受診回数が減るのは有り難いでしょう。
けど、月に一度は先生に診てもらって経過観察しておいた方が安心ではないでしょうか。(医療機関側の目線からです・・)
ときどき、月に一度は先生の顔を見に来て診察してもらいたいなんて患者さんもおられます。
慢性疾患の患者さんは、ぜひ変わりないお姿をお見せください(^^)
あまり時間の作れない会社員にとっては、受診回数が減って薬局で薬だけもらえるのは大いにメリットでしょう。
注意しなければならないルール
メリットやデメリットは、立場によってもいろいろ違いそうですね。
次にここで、リフィル処方箋について留意事項をもう少し書いておきます。
① リフィル処方箋の使用回数の上限は3回まで
薬の1回あたりの投薬期間やトータルの処方期間は、先生が患者さんの症状に診ながら個別に判断されます。
全部でどれだけの投薬になるのかわかりません。
診療所で、個人的に考えられそうなのは1回に30日分、3回のリフィル処方箋で90日分みたいな感じではないかと思っています。
投薬量は、予見することができる必要期間となっていますからね~。
② 投薬量に限度のある薬剤はリフィル処方箋ができない
投薬量に限度のある薬剤。
たとえば麻薬や新薬であれば14日間とか、向精神薬であれば30日が限度など。
湿布薬に関してもリフィル処方箋による投薬はできません。
③ リフィル処方箋による2回目以降の調剤日は予定日の前後一週間
これは調剤薬局側のことになりますが、次の調剤予定日について。
先ほどのマーカー付きの画像にもあった次回調剤予定日に記載されます。
原則として、次回の予定は調剤した日を起点として、先生が処方された1度の日数を経過する
前後一週間です。
このあたりは薬剤師さんにお任せします(^^;)
新しい様式での制度なので、まだまだ分からないことは多くありそうですが、診療所では広がっていくでしょうか。
医療事務としてちょっとした疑問点もあったので、別の記事で書いてみました。
※『リフィル処方箋のQ&A。診療所の事務員が疑問に思ったこと』
よろしければ、そちらでもチェックしてみてください(^^)
まとめ
何にしても新しいことを始めるときは、メリットやデメリットを考えるもの。
リフィル処方箋というシステムがもっと認知されると、ジェネリック医薬品の推進のときのように、医療費削減にはなるのでしょうが・・。
診療所としては減収になる可能性もあり、微妙な選択なのかな~と思っています。
リフィル処方箋という新しい制度について、改定後の4月になったので前回より少し詳しく書いてみました。
薬剤師と連携しながら、患者さんの体調管理と服薬指導ができれば良いですね。
リフィル処方箋は2022年4月から始まっています。