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令和5年4月より特例措置があります。
(追記にて最後に書きました)
医療事務のおばさん「くぅ」です(#^.^#)
医療機関を受診すると、薬が処方されることが多いですよね。
小さな診療所だと先生が使われる薬って、ある程度決まってくるので絞ることができます。
けど、薬って本当にめちゃくちゃ多くて、そこへ先発品やら後発品やらがあったりで聞いたこともない薬名が山ほど。
そんな数多い薬を処方する際に、場合によって加算できる点数があったります。
今日は、検索されている方も多いので「一般名処方加算」を取り上げてみようと思います。
うちの医院ではしてないのですが、私の知っている「一般名処方加算とは?」について書いてみますね。
私なりの解釈です(^▽^;)
一般名処方加算とは?
まずはこの一般名処方加算、私が医療事務の勉強を始めた昔々にはなかった点数だということ。
平成24年の診療報酬点数改定から始まった加算点です。
その頃は、一般名処方加算は2点。
「薬剤の一般的名称を記載する処方せんを交付した場合は、処方せんの交付1回つき2点を加算する」となっていました。
ここで気が付きましたよね~~。
そう、これ院外処方の医療機関に対しての加算点です。
処方せんを交付した場合って書いてありますから・・。
一般名で処方箋を発行した場合に算定できます。
平成28年からは、それまでの加算2点を「一般名処方加算2」とし、別に「一般名処方加算1」も加えられています。
平成24年~ 2点
平成28年 加算2→2点・加算1→3点
平成30年 加算2→4点・加算1→6点
令和2年 加算2→5点・加算1→7点
あっ、こんな歴史は覚えなくて良いですからね~~(笑)
古い点数なので(^^;)
加算1と2の違い
現在の令和4年の診療報酬点数表では
薬剤の一般的名称を記載する処方箋を交付した場合は、当該処方箋の内容に応じ、次に掲げる点数を処方箋の交付1回につきそれぞれ所定点数に加算する。
イ 一般名処方加算1 7点
ロ 一般名処方加算2 5点
となっています。
通知には、
交付した処方箋に含まれる医薬品のうち、後発医薬品のある全ての医薬品(2品目以上の場合に限る。)が一般名処方されている場合には一般名処方加算1を、1品目でも一般名処方されたものが含まれている場合には一般名処方加算2を、処方箋の交付1回につきそれぞれ加算する。品目数については、一般的名称で計算する。ただし、投与経路が異なる場合は、一般的名称が同一であっても、別品目として計算する。
と書かれています。
平成24年から算定されていたように、処方された1回の薬のうち1品目でも一般名で処方されたら加算が取れるのです。
加算2の5点。
では、加算1の7点が算定できるのはどういう場合かというと・・。
処方された薬のうち、後発医薬品のある全ての医薬品(2品目以上)が一般名処方なら取れます。
ざっくりと覚えるのなら・・
1つでも一般名処方なら5点、2つ以上で全て一般名処方なら7点です。
ですが、これそんなに簡単ではないのですよね~~(;^_^A
何せ・・後発品という解釈がややこしくて・・。
過去にこんな記事も書いています。
*『ジェネリックやオーソライズドって何?医療事務は覚えるの?』
もう少し詳しくみていきましょう。
商品名と一般名
一般名処方と言われても、そもそも一般名って何?って疑問はありませんか。
薬に関しては「薬価基準点数早見表」というものがあるのですが、そこに収載されている品名に代えて一般的名称に剤形及び含量を付加した記載のことをいいます。
( ,,`・ω・´)ンンン? よくわかりませんよね。
要は、一般的名称とは薬の添付文書に書いてある有効成分の一般的名称がほとんどです。
まぁ、細かく言うとそれだけではないのですが・・(^^;)
既収載品の販売名も参考にして一部簡略化したものもあったりとかね。
ますますややこしいって? たしかに・・。
薬の名前・商品名を覚えるだけでも大変なのに、有効成分ってね~~(>_<)
同じ薬なのに名称がいろいろあって、どれがどの薬なのか訳が分からないようになります。
薬の名前に関しては、こんな記事も書いています。
*『薬のネーミングは面白い!医療事務にも助かる覚えやすい名前』
ご興味があれば、ぜひどうぞ。
メーカーさんが勉強会で説明される時も、この一般名で話されるときがあるのですが・・。
いつも「なんていう薬?」って感じで尋ねて、商品名で言ってもらいます(笑)
あー、ちょっと横道にそれました(;^_^A
とりあえず一般名とは有効成分ってことで、私は大まかに解釈してます。
処方箋への一般名処方の標準的な記載は、【般】+「一般的名称」+「剤形」+「含量」となっています。
たとえば・・、テレビのコマーシャルでもよく耳にするロキソニンという薬。
このロキソニンというのは薬価基準点数早見表に載っている商品名です。
そしてこの薬には後発品があります。
添付文書における有効成分がロキソプロフェンナトリウム水和物。
一部簡略化して、一般名はロキソプロフェンNaとなっています。
品名としてはロキソニン錠60mg。
一般名処方になると《【般】+「一般的名称」+「剤形」+「含量」》により
【般】ロキソプロフェンNa錠60mg となります。
1回の処方箋に、この一般名処方が1つでもあると加算2が算定できるわけです。
・商品名がムコダイン、一般名はカルボシステイン
・商品名がリピトール、一般名はアトルバスタチン
・商品名がディオバン、一般名はバルサルタン
・商品名がタケプロン、一般名はランソプラゾール
などなど、品名で覚えている私にとっては、まだまだ一般名が記憶できず・・(^▽^;)
ほんと、うちが一般名処方でなくて良かった~~。ナンチャッテ
厚生労働省の一般名処方マスタは、こちらで確認できますよ。
先発品・後発品・一般名称って覚えるの?
ということは・・、商品名・後発品名や一般名これ全部覚えなくてはならないの?って思いますよね~。
冒頭にも書きましたが、うちのような小さなクリニックでは先生が採用される薬はだいたい決まってくるものです。
普通は商品名(先発品名)で覚えているのですが、こう後発品の処方が増えてくると聞き覚えのある名称が自然に頭に入ってきます。
後発品名はほぼ成分名になってますから、後発品名を覚えていれば一般名処方の記載も同じような感じでピン♪とくるはず。
先生が常日頃よく使われる薬だけでも把握できていれば良いでしょう。
必ず覚えましょう!とはなりませんが、毎日の業務の中でなんとなく覚えていくものです(^^)
とはいうものの・・。
院外処方の場合って、処方箋上の薬名って先発品名で入力しますよね。
薬名の前に「×」やが付いていれば先発品、「×」がなければ後発品(ジェネリック医薬品)にしても良いよ~というルール。
なので、先発品を多く採用される先生だとレセコン入力で、ジェネリック医薬品を見ることは少ないわけです。
後発品にしても良いよ~という薬でも、ジェネリックの商品名を入力するわけではないですから。
もちろん、最初から後発品名で処方されるときはあります。
先生がカルテ自体に後発品名で書かれる場合。
商品名に「」カッコ書きでメーカー名があれば、ほぼ後発品扱いですから(例外もあります)。
うちのように一般名処方をしていないと、有効成分なんてほとんど知りませんから(笑)
一般名処方加算が算定できるのかどうか・・
いくら一般名処方してないからといって、私も全く興味がないわけではありません。
患者さんからお薬手帳を見せてもらったときや、診療情報提供書に一般名で書かれてあったり・・。
意外と目にすることもあるので、私も知っておかなくっちゃ~と思い、今回は記事にしてみたという理由もあります。
ではここで、先生が処方された薬を例に一般名処方加算が算定できるか考えてみますね。
基本は「後発医薬品のある医薬品について、薬価基準に収載されている品名に代えて、
一般的名称に剤形及び含量を付加した記載による処方箋を交付した場合に限り算定」です。
その前に、薬剤の種類には
・先発品
・準先発品
・後発品(ジェネリック医薬品))
・診療報酬における加算等の算定対象とならない後発医薬品
・診療報酬における加算等の算定対象とならない後発医薬品のある先発医薬品
など、さまざまあります。
考えれば考えるほど頭がぐちゃぐちゃになります(笑)
後発品のある先発品、後発品のない先発品、先発品のない後発品、先発でも後発でも準先発品でもないもの。
このあたりの確認は、厚生労働省の「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について」を参考にしてみてください。
ちなみに・・。
一般名処方加算1なのか2なのかは、電子カルテやレセプトコンピューターが算定してくれます( ̄▽ ̄;)
ですが、アップデートできてなかったりプログラムが上手くいってなかったり・・なんて稀にあるようなので、算定の仕方は把握しておきたいものです。
それでは、例題いってみましょう。(処方の際の容量・用法や日数は省きます)
① ガスターOD錠10mg
ナウゼリン10mg
2品目とも先発品による商品名で処方されているので、一般名処方になっていません。
いくら後発品があっても、元々から加算1・2の対象ではないですよね~。
② ファモチジンOD錠10mg「サワイ」
ナウゼリン10mg
ファモチジンは後発品ですが、一般名処方ではありません。
このパターンも、どれも品名(銘柄名)での処方なので加算は取れません。
③ 【般】ファモチジン錠10mg
リピトール錠5mg
ディオバン錠80mg
リピトールとディオバンは後発品のある先発品。
ファモチジンは【般】と表示されているので一般名処方です。
1品目でも一般名処方があるので、加算2が算定できるので5点となります。
④ 【般】ファモチジン錠10mg
【般】アトルバスタチン錠5mg
【般】バルサルタン錠80mg
全て一般名処方で、しかも2品目以上なので加算1が算定できます。
7点プラスです。
⑤ 【般】ファモチジン錠10mg
【般】アトルバスタチン錠5mg
【般】バルサルタン錠80mg
ロキソニン錠60mg
ロキソニンだけが、後発品のある先発品の商品名で書かれてあります。
後発品のある薬剤が全て一般名でないと、いくら【般】となっている薬が3品目もあっても加算1にはなりません。
加算2の5点加算です。
⑥ 【般】ファモチジン錠10mg
【般】アトルバスタチン錠5mg
【般】バルサルタン錠80mg
ビオスリー配合錠
ジャヌビア錠25mg
さきほどの⑤では加算2しか算定できませんでしたが、今回は加算1の7点が取れます。
なぜかというと・・。
ちょっとややこしいのですが、ビオスリーは先発品でも後発品でも準先発でもありません。
一般名処方マスタにもないので、加算を考えるときの対象になっていないのです。
生薬や漢方・長い間使用されて定着しているものなどは、加算対象とみなされない薬剤の場合があります。
ジャヌビアにはそもそも後発品がありません。
なので、⑤のロキソニンのようなパターンとは違い、一般名処方3品目で加算1となります。
⑦ 【般】ジメチコン錠40mg
ツムラ麻子仁丸エキス顆粒
ミヤBM
一般名処方が1品目あります。
加算2の5点だと思いますよね~。
漢方とミヤBMは⑥にも書いた薬剤同様、加算対象の薬剤ではありません。
ジメチコンが1品目あるから・・5点といきたいところですが。
一般名処方マスタの中でも、加算1・2とも算定できるものと加算1しか算定できないものがあるのです。
ホントにややこしい~~(;´д`)
【般】ジメチコン錠40mg は、一般名処方加算対象が加算1しかないのです。
なので、この場合の加算は全く算定できません。
このときに、【般】ランソプラゾールカプセル15mg など一般名での処方がプラスであれば、2品目とカウントされ加算1の7点が算定できます。
加算対象が1なのか2なのかは、前述した厚労省の「一般名処方マスタ」で確認できますからね~。
⑧ 【般】アムロジピン錠2.5mg
【般】アムロジピン錠5mg
この場合の一般名処方については、同じ一般的名称ですよね。
【般】+「一般的名称」+「剤形」+「含量」の「一般的名称」の部分。
規格・剤形以外のアムロジピンという名称が同じです。
品目数のルールは「品目数については、一般的名称で計算する。ただし、投与経路が異なる場合は、一般的名称が同一であっても、別品目として計算する。」とあります。
一般的名称が同じで、投与経路も口から服用(経口)です。
なので、1品目となり5点の加算となります。
⑨ 【般】ロキソプロフェンNa錠60mg
【般】ロキソプロフェンNaテープ50mg(7×10cm非温感)
こちらは、同じ一般的名称でも投与経路が異なりますよね。
⑧のパターンとは違って、2品目となり加算1で7点となります。
⑧や⑨のように、一般的名称が同じでも投与経路によってカウント数が変わってくる場合。
これは、医薬品のYJコードでも確認できます。
コードの5~7桁目の数字が同じか違うかで判断できますよ。
⑩ 【般】アトルバスタチン錠5mg
【般】バルサルタン錠80mg
カロナール錠300mg
メチコバール錠250μg 0.25mg
カロナールとメチコバールは先発品がありません。
一般名処方が2品目あるので加算1。
なのですが、一般処方名加算1の7点を算定するには、処方箋には先発医薬品のない後発医薬品でも一般名で記載する必要があるのです。
後発品しかない薬でも、処方箋には一般名で
【般】アセトアミノフェン錠300mg
【般】メコバラミン錠0.25mg
と、記載されるように入力しなければいけません。
先発医薬品のない後発品だけのカロナール・メチコバール・バイアスピリン・マグミットなど。
加算1を算定するには、一般名処方マスタにあがっている薬剤の記載には注意しましょう。
ちなみに、
【般】アセトアミノフェン錠300mg
【般】メコバラミン錠0.25mg
は、⑦でも書きましたが1品目で加算2は算定できない薬剤です。
⑪ 【般】トラネキサム酸錠250mg
この薬剤は、先発品がトランサミン錠250mg。
後発品のトラネキサム酸錠250mgと同価格ということで、加算2の対象にはならないのです。
同じ薬価なので、先発医薬品のある後発医薬品とはみなされないわけ。
一般名処方加算は算定できません。
いくつかの例題を書いてみました。
いろんなパターンがあり、全て把握するには少々難しかったです(;´д`)
うちでは一般名処方をしていないので、今回は私も猛勉強しちゃいました。
もし、考え方が違っていたら教えて頂けると助かります。
ぜひ、ご指摘があればお願いします。
まとめ
いやぁ~~、今回の一般名処方に関しては本当に勉強になりました。
もちろん、加算点に関しては電子カルテ・レセコンなどコンピューターさん(笑)が計算してくれるでしょう。
けど、コンピューターも万能ではないと思うので、
・加算1や2が間違いないのか
・なぜ5点や7点になるのか
理解しておくと良いと思いますよ。
今回記載した厚生労働省のリンクは、結構、日々更新されていて最新のものがチェックできます。
確認してみてくださいね。
一般名処方とは?
商品名や会社名を指定せずに、薬の有効成分の名前(一般名)のみで処方を行うことです。
まぁ患者さんの立場になったら、診療代金がちょっと増えるので微妙なルールですが・・(^^;)
他に投薬での加算点には、特定疾患処方管理加算なんていうのもありましたよね。
特定疾患処方管理加算については
*『特定疾患処方管理加算とは?医療事務が算定する時のポイント』
こちらの記事で書いています。
余談ですが・・。
特処加算1が18点・2が66点と1より2の方が点数が高いのに、一般名処方加算については1が7点・2が5点と2より1の方が高いんです。
1と2の違いで、どっちが高い点数だったか覚えるのに、頭がごちゃごちゃになります(^▽^;)
まぁ、レセコン入力の際そんな違いで悩むスタッフはいないでしょうが・・(笑)
変なおばさんは私だけです。
まぁ、いまのところ銘柄名(品名)処方なので、私は一般名処方加算に関しては経験がありません。
あしからず。
今回めちゃくちゃ勉強したけどね(スミマセン・・しつこかったですね~)。
ではでは、今日はこれでおしまい。
チャンチャン♪
【追記 令和5年4月より】
令和5年4月から、医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の特例措置があります。
先生が処方された薬がない!!って、調剤薬局からよく連絡が入ります。
薬剤の出荷停止がいろいろあったりで、先生は風邪薬や漢方薬など思うように患者さんに処方できないのですよね~~。
医薬品の供給状況が安定しないため、一般処方名で処方箋を発行することに加算点がついたのでしょうね。
《一般名処方を推進することにより、保険薬局において銘柄によらず調剤できることで対応の柔軟性が増し、患者に安定的に薬物治療を提供する観点から》とありますから・・。
追加の施設基準を満たしていれば、令和5年12月までの間は算定できます。
・施設基準
この追加施設基準を満たしていると
・一般名処方加算2 5点 → 7点(+2点)